商品紹介
「原料にこだわり、余計なものを一切加えず、普段使いできる醤油」
新潟県産小麦「ゆきちから」、新潟県産大豆「エンレイ」、種麹「オリゼー」を使用。自然な四季の温度変化の中で1年間タンクで発酵・熟成、その後の成分調整や保存のためのアルコール添加をあえて行わずボトリングした生醤油。その年の小麦や大豆の出来、熟成期間の天気などによって風味の変化が楽しめるワインのようなヴィンテージ醤油です。
名称 | ホクショク 郷土の実り 天然醤油 1L | |||
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内容量 | 1L | |||
生産地・地域 | 新潟県 | |||
メーカー | ホクショク | |||
JANコード | 4975833200285 | |||
原材料 | 大豆、小麦、食塩 |
添加物 | ||||
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アレルギー物質 | 卵 | 乳 | 小麦 | 蕎麦 |
ー | ー | ○ | ー | |
落花生 | えび | かに | ー | |
ー | ー | ー | ー | |
備考 |
STORY
こだわりの一品ができるまで
「幻の新潟県産小麦」から
ボトル一本に語りつくせぬほどの物語。そんな醤油です。
まず製造元の新潟県醤油協業組合の説明から。
昭和47年、新潟県下18社の老舗醤油蔵元が、生産・販売の合理化を目的に協業合弁を行い、設立されたのが新潟県醤油協業組合です。さらには2004年の新潟県中越地震で被災した有力蔵の生産部門を請け負う形となり、以降は県下で生産される醤油の7割近くを同組合が担うようになりました。約400年前から行われてきた新潟県の醤油づくりですが、このように生産体制が集約されたため、現在ではもろみを製造するメーカーは新潟県内で2社だけとなっているのです。
それは2012年のこと。同組合の佐田直人専務理事は、あるきっかけから新潟県内でごく少量生産されていた小麦「ゆきちから」の存在を知りました。米どころ新潟県ではその昔小麦も多く生産されていましたが、戦後は急激に生産量が減り、1998年には完全にゼロになっています。ところがその後、雪に強い品種「ゆきちから」が開発され、小千谷市の生産者がこの栽培を始めたことで、県産の小麦がよみがえったといいます。この話を聞いた佐田さんは「昔の醤油は全て新潟県産の原材料で仕込まれていた。この小麦を使って新潟ならではの醤油を現代によみがえらせることができたら」と考え、「ゆきちから」の生産拡大に向けた研究会にも参加しました。
こうして県産醤油の復刻プロジェクトはスタートし、2015年には県産大豆「エンレイ」、県産小麦「ゆきちから」を100%使った醤油「郷土の実り」の初仕込みにこぎつけました。
「どうせなら、とことんこだわった醤油をつくってみませんか?」という意見への、プロジェクトの選択は「天然醸造・無調整・生(き)醤油」というものでした。
これは手間がかかるのと同時に、地元で大きなシェアを担う大メーカーとして「その年の天候や気温の影響を受けて味が変化する」醤油をつくるというのは大きな挑戦でもあります。また常温で保存されるケースが多い一般の醤油はほとんどが搾った後にアルコールを添加して保存性を担保していますが、それを捨てて無調整の生醤油をつくるというのも、協業組合にとっては初めてのことでした。
生(なま)醤油と生(き)醤油の違い
郷土の実りは天然醸造の「生(き)醤油」です
食品売り場に並んでいる醤油の中にもパッケージに「生醤油」という文字がみられるものは数多いのですが、よくよく見てみるとそのほとんどは「生(なま)醤油」です。「生(き)醤油」は、実はかなり稀少なのです。両者はどう違うのでしょうか。
醤油の製造工程は、まず蒸した大豆と煎った小麦を合わせたものに種麹を加えて「しょうゆ糀」を作ります。これに塩水を加えたものが「もろみ」で、これを発酵熟成させます。
この「もろみ」を搾って抽出した最初の液体が「生揚げ」と呼ばれるものです。通常はこの「生揚げ」を加熱し、微生物による発酵を止める工程「火入れ」が行われます。この「火入れ」を行うことで醤油に香りや風味がのり、醤油に蔵ごとの個性が生まれます。火入れの作業が醤油蔵のアイデンティティだと言っても過言ではありません。
「生(なま)醤油」は火入れを行いません。ただしフィルタリングをして菌、微生物を除去しますので発酵自体は止まり、瓶に入れる際、保存性を高めるためにアルコールや保存料などを添加するのが一般的です。火入れをしていないので、香りや風味は極めて穏やかです。
一方で「生(き)醤油」は火入れを行って微生物の働きを失活させ、その後には何も加えない醤油のことを言います。アルコールを少しでも添加すると生(き)醤油とは言えません。火入れをしているので豊かな香りがあり、他に何も加えない自然な味わいが魅力となります。封を開けた後は冷蔵保存になります。
流通量は「生(なま)醤油」が「生(き)醤油」を圧倒しています。実はかなり稀少なのです、「生(き)醤油」は。
「無調整の天然醸造」の苦労
10月某日、「郷土の実り」をつくる長岡市の新潟県醤油協業組合の工場を訪ねました。
見た目にもかなり広い敷地は、さすがに県下の7割の醤油を作り出している工場です。じっくり見学して回ると1時間半はかかります。
こちらの工場では、ちょうど面白い試みも。新潟のワイン「カーブドッチ」のワイン樽で熟成させる醤油を仕込んでいました。醤油にはカーブドッチの赤ワインもブレンドされる変わり種。これが最上級のステーキソースになるといいます。
醤油づくりのはじまりは大豆を蒸し、小麦を煎るという原料処理です。
そして蒸した大豆、煎った小麦に種麹を加えて、糀菌を繁殖させます。これが醤油糀です。
醤油糀に塩水を加えてもろみをつくります。郷土の実りに使用するのは国産塩限定です。
このもろみをタンクで寝かせて熟成発酵させるわけですが、一般的な醤油はここでタンクを加温し乳酸菌や糀菌がもろみを醸すスピードを促します。しかし天然醸造の郷土の実りは加温せずに新潟の四季の気温の中で、じっくりと1年間寝かされるのです。
なにせ新潟県内の7割の醤油を仕込む工場ですから、膨大な数の巨大なタンクが並びます。
その中で郷土の実りのもろみタンクは最も外気に触れる位置に置かれていました。
デリケートな天然醸造の場合、このタンクの置き場所と言うのが重要なファクターになります。2018年には天候不順などの影響でもろみの発酵が思うように進まず、色も薄口しょうゆのようなトーンになったそうです。これはこれで天然醸造の個性なのですが、前年とあまりにも質が変わってしまうので、タンクの置き場所を変えながら醗酵を調整したそうです。無調整の生(き)醤油なので、火入れの後に添加物やアルコールを加えて品質を調整することをしません。無調整・天然醸造というのは、決して放置しながら作り上げていくわけではなく、より一層の手間と神経を消耗する手法なのです。
もろみの熟成が終わるといよいよ圧搾に入ります。布のシートでもろみを濾すのですが、そのパレットが積み重なりまるでタワーのようになっています。ここに重しをかけて搾り、「生揚げ」と「搾りかす」に分離します。タワーの一番下から生揚げが抽出されていました。本醸造など一般の醤油や「生(き)醤油」はこの生揚げに火入れをして菌の働きを失活させます。「生(なま)醤油」はフィルタリングで菌を除去します。
前述したように「火入れ」こそが醤油づくりのクライマックスという見方もあり、この工程で風味や香り(火香とも言います)が載るのです。この後はアルコールも保存料も何も足しません。ですから郷土の実りは、開封した後は冷蔵保存してください。
ワインのようにわくわくするしょうゆ
現在流通している郷土の実りは2018ヴィンテージのものです。濃厚に仕上がったヴィンテージのものに比べると、いくらかシャープでキレのあるイメージですが、天然醸造ならではの極上のまろやかさとごく淡い甘みはしっかり感じられます。お刺身を味わうなら白身でも赤身でも美味しくしてくれるでしょう。また加熱すると華やいだ香りがぱーっと拡がるので炒め物の味付けにも良いと思います。味の特長は前ヴィンテージのものと異なります。だからワクワクできるのです。
新潟県醤油醸造組合では毎年、この郷土の実りをファンの方々と共につくりあげる「仕込み体験」を実施しています。仕込みに使う小麦「ゆきちから」や大豆「えんれい」の栽培から参加し、秋の収穫、12月の仕込みへと続きます。参加者は醤油がどんな風につくられ、その年の郷土の実りがどのような醤油なのかを体験を通じて知っていくのです。自らが関わってできた醤油の味わいは格別に違いありません。また郷土の実りが一般的な醤油とどう違うのか知ることは、味わいを深めてくれることでしょう。
会社名 | 新潟県醤油協業組合 |
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住所 | 新潟県長岡市十日町1901番地1 |
取り扱い商品 | しょうゆ、液体調味料 |
会社紹介 | 県内老舗醸造元 18社が集結して誕生した会社です。 伝統の技術と最新鋭の設備で確かな味づくり、そして近年は商品開発に力を入れています。市販用、業務用ともに新潟県内で流通するしょうゆの大部分を担っています。 |